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【オタラボノベルレビュー】「なむあみだ仏っ! 春夏秋冬 四季むすび」四季折々の御仏に触れる

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「なむあみだ仏っ! 春夏秋冬 四季むすび」(ビーズログ文庫アリス)
著:月本ナシオ/イラスト:風李たゆ/原作:ビジュアルワークス
http://alice.bslogbunko.com/si_namuami/index.html


「なむあみだ仏っ!」がコミカライズに続いてはやくもノベライズですって!?

某仏さまに心を奪われてしまった以上、これは是が非でも読まねばなるまい……!
そんな出所不明の使命感と、得も言われぬウキウキ感に駆られて、さっそく手に取ってみた。
その名も「なむあみだ仏っ! 春夏秋冬 四季むすび」!

コミックレビューはこちら

今回のノベライズは「四季むすび」という副題の通り、春、夏、秋、冬と季節に沿った内容の物語が四篇と、煩悩を喰らう霊鳥である迦楼羅天の視点で綴られるショートストーリーが三篇。
仏さまたちの日常の一部分を垣間見ている感覚のゲーム版やコミック版に対して、こちらはより細部、深部まで仏さまたちの生活ぶりを堪能することができる。
お話自体もその描写もとても丁寧に運ばれていくので、何だか自分も仏さまたちのやりとりのなかに入っているような幸せな錯覚を覚えることも……。

もちろん、これまでのテンションの高さはノベライズでも健在!

仏さまがコスプレしちゃうし……。
仏さまがアイドルになっちゃうし……。
仏さまが雪像作っちゃうし……。

と、こんな風に、物語はノベライズ版でも変わらずいい意味にぶっ飛んでいて感動すら覚える。
もとよりキャラクターの濃さは承知していたが、小説というかたちでよりじっくりディテールを描かれる仏さまたちは、読む前の想像をはるかに超えて、これでもかと個性を主張してくる。
さらに初出の情報も盛りだくさんで、なむあみファンは読んでいて絶対に損はない! と言い切れる。

各々にきちんとスポットがあてられていて、誰のファンでも満足できる構成になっているのもいい!
(某仏さま推しの私も大満足!)

文体も驚くほどきれいで、分かりやすく読みやすく、リズムもテンポもとってもいい。
季節を感じる文面には、自分の記憶するその風景を思い浮かべて読むことができるのも楽しい。
観音菩薩が作る美味しそうな精進料理の描写に食欲をそそられながら、仏たちのドタバタしたやりとりには、思わず声を出して笑ってしまった。

もちろんイラストも美しく、生き生きとした表情の仏さまたちはこちらを幸せな気持ちにしてくれる。
巻末についている本文挿絵ラフも楽しく、お得感満載だ。

そんな美しい文章とイラストで綴られる、新たな「なむあみだ仏っ!」。
ゲームともコミックとも異なる魅力が見られ、読めばこれまで以上に愛着が沸くこと必至!

ちなみにノベライズ版で再認識したのが、「なむあみだ仏っ!」には嫌なキャラクターが一人もいないということ。
例えばお騒がせキャラの大日如来はたいへん立派な仏さまで偉そうぶってはいるものの、その内には驚くほど純粋で素直な心を持っているし、
トラブルメーカーの虚空蔵菩薩はただ賑やかなことが好きなだけで、言葉の端々には皆と一緒に楽しみたいという明るさと優しさが表れているし、
毒舌キャラの普賢菩薩は気持ちの表現の仕方こそ決して上手くはないが、ともに釈迦如来の脇侍を務める文殊菩薩のことを誰よりも気にかけているし、
こんな具合に、ぱっと見ではクセの強そうなキャラクターであっても、もとより穏やかさや真面目さ、勤勉さが感じられる仏たち同様に、皆等しく優しく、そして美しい心を持っている。

惜しむらくは、ボケに対して圧倒的にツッコミの人数が足りていないことだろうか……(切実)。

仏門という、なんとなく敷居の高さを感じさせるジャンルが、こんなにも気軽に向こうから迎えにきてくれる。
コメディタッチな仏さまも、仄暗い存在に触れる仏さまも、優しい御心で教えを説かれる仏さまも同時に堪能できるなんて、作中の「仏の御心も伝え方次第」というフレーズをそのまま体現している「なむあみだ仏っ!」はどの媒体であろうとやはり楽しく、間違いなく面白い。

秋の夜長にぴったりな本作。
なむあみファンはもちろん、仏さまに興味がある人も、イケメンを愛でたい人も、ぜひ一度手に取ってみてほしい。
めくるめくなむあみワールドに触れれば、あなたにもきっと推し仏が見つかるはず。

は~、仏さまって尊い!
(文/三崎いさ)
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