「心の傷を癒すということ」は、NHKで放送されたドラマです。
その内容は、阪神淡路大震災を題材に、実話を元にした物語です。
実在の精神科医、安克昌(あんかつまさ)医師を主人公に据え、安一家と、震災によって傷ついた人々の心のあり様を様々な方向から描いたドラマです。
「心の傷を癒すということ」は、安医師の実際の著書のタイトルでもあり、ドラマの原案になっています。
ドラマと原作小説の違いを解説していきましょう。
製作者の声や小ネタなどもご紹介します!
内容に触れるネタバレもありますので、ご注意くださいね。
心の傷を癒すということ 概要
https://twitter.com/nhk_dramas/status/1219897866820280320
作品情報を簡単にまとめました♪
原作 | なし |
脚本 | 桑原亮子 |
プロデューサー | 京田光広、城之内礼二郎、橋本果奈、齋藤明日香 |
演出 | 安達もじり、松岡一史、中泉慧 |
キャスト | 柄本佑、尾野真千子、濱田岳、森山直太朗、浅香航大、清水くるみ、上川周作、濱田マリ、谷村美月、趙珉和、内場勝則、紺野まひる、平岩紙、石橋凌、キムラ緑子、近藤正臣ほか |
音楽 | 世武裕子 |
製作 | NHK大阪放送局 |
放送期間 | 2020年1月18日~2月8日 |
再放送予定 | 未定 |
動画配信 | U-NEXT |
ドラマ「心の傷を癒すということ」には、原作小説がありません。
しかし、「心の傷を癒すということ」という著書があります。
それは、ドラマの主人公のモデルとなった実在の精神科医、安克昌医師によるものです。
ドラマはこの著書が原案になって製作されています。
当時の様子や安克昌医師自身のことなど、遺族や関係者への取材を元に物語が完成しました。
原案書籍「心の傷を癒すということ」は、初版が2001年に刊行され、その後2011年、2019年にも増補版が刊行されています。
ドラマ放送後には入手が難しくなっており、図書館でも予約がいっぱいで借りることも難しいようです。
電子書籍での購入も可能で、試し読みもできるようなので、気になった方は覗いてみてはいかがでしょうか?
土曜ドラマ【 #心の傷を癒すということ 】
まもなく!!!!!
このあと9時から放送です(NHK総合)安先生を演じられた柄本佑さんの
患者さんへの目線ややわらかな声、
あたたかな雰囲気をたくさん感じられる
第3話はまもなくです!!#NHK #柄本佑 #尾野真千子 #濱田岳 #森山直太朗 #近藤正臣 pic.twitter.com/2k1OtMMC07— NHKドラマ (@nhk_dramas) February 1, 2020
こちらはドラマ内で使われた、安和隆の著作です。
心の傷を癒すということ 全話あらすじ
「心の傷を癒すということ」は、各話49分、全4回放送されました。
精神科医を目指す安和隆の幼少期および学生時代から、実際に医師として活動し、若くして逝去するまでが描かれています。
精神科医になる前の1話ですら、心に響くセリフが多く登場します。
2話以降は安医師が本格的に医師として診察にあたるシーンが描かれますが、患者さんたちとの会話がとっても胸にしみるんです…
胸を打つ素晴らしいセリフが盛りだくさんです。
人の優しさと自然の残酷さ、そして感動の数々…
涙なしでは見られない物語です。
1話 神戸、青春の街
2020年1月18日放送
https://twitter.com/nhk_dramas/status/1218516064885063681在日韓国人としての出自に悩みつつ、安和隆(柄本佑さん)は精神科医を目指すことになります。
学友の湯浅(濱田岳さん)と共に学ぶ日々の中で、生涯の恩師となる永野教授(近藤正臣さん)に出会います。
しかし、父親(石橋凌さん)には精神科医という職業を理解されず、葛藤を抱えていました。
和隆、湯浅は共に精神科医になることができました。
そして、映画館で出会った、和隆と同じく在日韓国人の終子(尾野真千子さん)と結婚し、子どもも産まれます。
そんな矢先に震災が起き…
終子が「自分の名前が嫌い」と言いますが、それが伏線となり後から回収されるところに胸が熱くなります。
2話 僕たちの仕事
2020年1月25日放送
https://twitter.com/nhk_dramas/status/1220949656517017601
震災後、和隆はすぐに勤務先の病院に向かいます。
そこは患者で溢れていました。
ケガはもちろん、被災者たちには心のケアが不可欠です。
しかし、1995年当時、精神科医に相談をすること、神経科にかかることは偏見があったようで…
新聞記者(趙珉和さん)から、震災を内側からの視点でコラムを書いてほしいと依頼を受け、和隆はそれを受けることになります。
子どもの心の傷とも向き合い、子どもたちが元気に遊び回れる場所を作ることにも尽力します。
一見不謹慎にも見える少年の「地震ごっこ」は、震災のショックを自分なりに受け入れていくためのプロセスなのだそうですよ。
少年に「弱いってえぇことやで」「他の人の弱いとこがわかって助けてあげられる」と優しく諭すシーンには胸を打たれます。
3話 見えない命綱
2020年2月1日放送
https://twitter.com/nhk_dramas/status/1223471052975566849
和隆の元に診察に訪れたのは、自分の中にいくつかの人格が住んでいる多重人格障害を患う女性患者でした。
患者の片岡心愛(清水くるみさん)が、「こんな病気になったんは、私が弱いからですよね?」と問い、それに対しての和隆の返答は、作中屈指の名ゼリフではないでしょうか。
力強く「違う」と受け止め、「生きる力が強いんや」と支えてくれた和隆の言葉に、彼女はどれだけ救われたことでしょうか。
患者の治療を続ける和隆でしたが、体調の思わしくない父のことも気になります。
父の元に、和隆は自身の著書が賞を取ったことを報告し、その著書と賞状を届けます。
確執のあった親子の関係が、ゆっくりとほどけていくのを感じる二人でしたが、穏やかな時間はあまりにも短いものでした。
4話 残された光
2020年2月8日放送
https://twitter.com/nhk_dramas/status/1226072595629404160
震災から5年。
和隆は新しい病院へ異動し、治療体制を憂いていた後輩医師の北林医師(浅香航大さん)を招き、治療と研究の日々に燃えていました。
そんな矢先、和隆にガンが発覚してしまいます…
自分より妻を、患者を思いやる和隆でしたが、恩師の前でだけは本音で苦しい胸の内を吐露するのでした。
車椅子に乗りながらも医師としての姿勢を貫く和隆の姿勢に、周りの看護師や医師たちも胸を打たれます。
後輩の北林医師へと向けた、
「そのままでええよ」
「焦ることない」
「ゆっくり進むことで、皆が見落としたもん見つけられる人やと思う」
という言葉は、全ての人に向けられるべき素晴らしい言葉ではないでしょうか。
39歳の若さで、3人目の子どもをその手に抱くこともなく、和隆は逝去することに…
しかし和隆の理想は、その志は、残された人々に受け継がれていくのでした。
自分の名前が嫌いと言った終子さんへの言葉で、
「怖い映画も、最後には絶対『終』という字が出て自分の世界に帰ってこられる」
「そうわかってるから、耐えられる」
というものがあります。
だから「終」という字は素敵な字なんだよと、君の名前は素敵な名前なんだよと、伝えたかったんでしょうね。
和隆の人柄のわかるセリフでしたね…
しかし、和隆の闘病が終わることはなく、終わってしまったのは和隆の人生そのものでした。
いつか闘病が終わるから耐えられる、そう信じたかったことでしょう…
あのセリフには、そんな意味も込められていたのではないでしょうか。
心の傷を癒すということのキャスト一覧
主演の柄本佑さんは、実在の安克昌医師とそっくりで、その役作りに驚かされます。
ささやくような優しい話し方も、きっとご本人がそうだったんでしょうね。
その優しい声音に、患者さんたちも安心したことでしょう。
柄本佑(演:安和隆)
ジャズを愛する精神科医。
傷つきに優しい社会を目指していた。
ガンにより、39歳の若さで逝去する。
尾野真千子(演:安終子/あん しゅうこ)
和隆の妻。
和隆亡き後、3人の子どもを立派に育て上げた。
石橋凌(演:安哲圭)
和隆の父。
在日韓国人一世で、実業家。
キムラ緑子(演:朴美里)
和隆の母。
在日韓国人二世。
森山直太朗(演:安智明)
和隆の兄。
渡米し、原子力研究に尽力する。
上川周作(演:安壮介)
和隆の弟。
濱田岳(演:湯浅浩二)
和隆の親友にして、精神科医。
和隆と共にジャズバンドを組んだ。
趙珉和(演:谷村英人)
新聞記者。
濱田マリ(演:ジャズ喫茶のママ)
ジャズ喫茶のママ。
谷村美月(演:結城理恵)
和隆の患者。
内場勝則(演:校長先生)
避難所の小学校の校長。
紺野まひる(演:梓)
仮設住宅に入居する。
幼児と二人暮らし。
清水くるみ(演:片岡心愛)
和隆の患者。
急性アルコール中毒として運ばれてくるが、和隆によって多重人格との診断を受ける。
浅香航大(演:北林史也)
和隆の後輩医師。
平岩紙(演:新島聡子)
和隆の同僚の看護師。
近藤正臣(演:永野良夫)
精神医学の権威。
和隆の恩師。
心の傷を癒すということ 小ネタ
特集番組や、製作者の声などから、ドラマ「心の傷を癒すということ」の小ネタをご紹介しましょう。
- ドラマの題字は、安克昌医師の手書きの文字を寄せ集めて作られた。
- 4話のラストシーンは、偶然、安克昌医師の命日の12月2日の収録だった。
- その撮影日、12月2日は雨が降っていたが、いざ撮影が始まると雨が止んだ。
- 4話のラストシーンに登場した安和隆の3人の子どもたちは、安克昌医師の実際のお子さんたち。
撮影秘話を知ることで、より一層ドラマと史実に深く入り込むことができますね!
心の傷を癒すということ まとめ
ドラマ「心の傷を癒すということ」と原作小説の違いなどをご紹介しました。
実際の震災をテーマにしていることもあり、多くの人の胸を打つ作品になっていることと思われます。
傷つきに優しい社会を目指した安克昌医師の想いが、数々の名ゼリフとなって作中に登場しています。
何度でも繰り返して見たくなる名作ですね。
原案著書にも目を通してみるといいのではないでしょうか。
決して人ごとではない、自然災害と人の心のあり様を考えさせられました。
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